築20年以上の戸建てにお住まいの方へ
その火災保険、建てたときのままになっていませんか?

はじめに:更新“だけ”で本当に守れるでしょうか
戸建てを購入してから20年、30年。気づけば、住宅ローンと一緒に加入した火災保険を、特に中身を見直すことなく更新だけ継続してきた -そんな方は少なくありません。ところが、保険は”入っているかどうか”よりも、”必要なときに必要な補償が出る設計になっているか”の方が重要です。建物は経年で姿を変え、暮らしも家族構成も所有物も変化します。にもかかわらず、契約だけが昔のままだと、いざというときに「対象外だった」「金額が全然足りなかった」という残念な結果になりかねません。
今回は、築20年以上の戸建て所有者の方に向けて、火災保険の“今どき”の見直しポイントを解説します。「保険は難しい」と感じている方が、更新前に最低限押さえておきたい要点を、順に説明いたします。最後には、自分の家に合わせて再設計するためのチェック手順や、相談の上手な進め方もご案内します。
まずは5分セルフ診断:あなたの補償、今に合ってる?
以下のチェック項目に3つ以上当てはまれば「見直し推奨」です。
・契約当時(購入時)の保険金額を一度も見直していない
・ 家財保険の金額を根拠なく決めている/そもそも家財が未加入
・水災と水濡れの違いを説明できない
・地震保険が未加入/金額や期間を把握していない
・免責金額(自己負担)を覚えていない
・太陽光・蓄電池・カーポート・物置など付帯設備を増やしたが反映していない
・台風・豪雨後に屋根や外壁の小トラブルを経験した
・リフォーム・増改築・用途変更(自宅内での仕事用スペース)を申告していない
・団体・一括契約を“なんとなく”継続している
・いざという時の請求フロー(写真・見積・罹災証明など)を家族が共有していない
このセルフ診断で3つ以上当てはまった方は、ぜひ一度ご相談ください。
≪ご相談はコチラ≫
1. 20〜30年前と今の火災保険は“設計思想”が違う
| 昔の火災保険 | 今の火災保険 | |
| 補償範囲 | 火災・落雷・破裂・爆発が中心のシンプル設計 | 風災・雹災・雪災・水災・水濡れ・破損汚損など多様化 |
| リスク環境 | 災害リスクが今ほど注目されていなかった | 台風大型化や線状降水帯など新たな自然リスクが増加 |
| 契約期間 | 20〜30年の長期契約が主流 | 最長5年。更新時に点検・見直しが前提 |
かつての火災保険は、火災・落雷・破裂・爆発といった基本的な事故を中心に据えた、比較的シンプルな設計でした。ところが、台風の大型化や線状降水帯の頻発など、自然災害のリスクが年々可視化されるにつれて、補償の幅は大きく広がっています。いまや「風災」「雹災」「雪災」「水災」「水濡れ」「破損・汚損」といった生活事故・自然災害の細かな区分が当たり前になり、特約の選び方次第で支払いの有無や自己負担が大きく変わる時代です。
契約期間にも違いがあります。以前は20年や30年の長期契約が一般的でしたが、現在は最長5年まで。いうなれば“更新のたびに点検する”ことが制度に組み込まれたようなもので、惰性で継続してしまうと、生活実態との差が少しずつ広がっていきます。長期で安心を買うのではなく、節目ごとに暮らしに合わせて“調整する”のが、これからの火災保険との付き合い方です。
2. 築20年以上で増えるリスクを、暮らしの変化から見直す
| 主なリスク | 暮らしの変化 | |
| 建物劣化 | 屋根材の浮き、瓦のずれ、外壁劣化、配管トラブル | 自然災害で被害が顕在化しやすい |
| 家財 | 減少(子どもの独立)または増加(在宅ワーク・趣味機材) | 家財価値の変動が大きい |
築年数が20年、30年と進むと、住宅そのものが抱えるリスクは自ずと増していきます。屋根材の浮きやクラック、瓦のずれ、外壁シーリングの劣化、雨樋の反り。これらは普段の見た目では分かりにくくても、風雨にさらされたときに一気に被害が顕在化します。配管のピンホールや給湯器の故障など、給排水設備まわりのトラブルも、生活の長さに比例して起こりやすくなるのが実感ではないでしょうか。
一方で、暮らしも変わります。子どもが独立して家財が減ったご家庭もあれば、在宅ワークが主流になってPCや大型モニター、椅子やデスクなどの設備をそろえた方もいるでしょう。趣味の道具や大型家電が増え、「昔より家の中の価値が上がっている」ケースも珍しくありません。つまり、建物と家財の“現在の価値”を、いまの暮らしに合わせて更新することが、保険の見直しの第一歩なのです。
3. 「更新していれば安心」という誤解
更新の通知が来ると、つい保険料の上下だけに目が向きます。しかし、安いから良い、高いから安心、という単純なものではありません。たとえば、保険料を抑えるために水災を外したり、自己負担(免責)を高く設定したりすると、災害時に“保険が使えない”、“出ても足りない”という事態が起こり得ます。逆に、暮らしにそぐわない特約を漫然と付け続けると、支払いの可能性が低い補償に保険料を払い続けることにもなります。
団体契約や住宅ローン付帯の一括契約は、確かに手間が少なく、場合によっては保険料のメリットもあります。それでも、太陽光や蓄電池、物置やカーポートなどの付帯設備が増えたご家庭、在宅ワークや趣味機材で家財の価値が上がったご家庭では、個別設計の方が“いざというときの出やすさ”の面で適していることが少なくありません。誰かに最適な標準設定が、自分に最適とは限らない -これが見直しの出発点です。
4. 補償の地図を描き直す:似て非なる区分を言葉で理解する
| 補償 | 内容 |
| 火災・落雷・破裂・爆発 | 基本補償 |
| 風災・雹災・雪災 | 自然の力による損害 |
| 水災 | 洪水・床上浸水・高潮・土砂崩れ |
| 水濡れ | 給排水設備事故・上階漏水など室内起因 |
| 破損・汚損 | 偶発的な事故での破損 |
火災・落雷・破裂・爆発は言うまでもなく基本補償です。ここに、台風や突風、雹や雪の重みといった自然の力で起きる損害をまとめた「風災・雹災・雪災」が加わります。さらに、河川の氾濫や内水氾濫、高潮などに起因し、床上浸水や地盤面超の浸水といった深刻な被害につながる「水災」があります。一方で、給排水設備の事故や上階からの漏水など“建物内の設備由来”で起こる「水濡れ」は、同じ水でも別の扱いです。似ているようで範囲も判断基準も異なるため、ここを取り違えると“想定外”が生まれます。
生活の中の偶然な事故で壁や窓が割れたり、家具がぶつかって内装が傷ついたりする「破損・汚損」も、いまは重視される補償です。小さな破損の積み重ねは家計の負担になりやすく、日々の暮らしの安心感を高めるために、あえてこの補償を厚くする選択もあります。反対に、小さな修理は自腹で賄い、免責を高めて保険料を抑える設計もあります。どちらが正解かは、家計と地域の修理相場、そして“保険を何のために使いたいか”という価値観で決まります。
5. 建物は「再調達価額」で、家財は「買い直し価格」で考える
保険金額を決めるときに、建物は、“いま同等の家を建て直したらいくらか”という再調達価額で考えるのが一般的です。時価で設定すると、経年劣化分が差し引かれてしまい、実際に再建が必要になったときに大きく不足する恐れがあるからです。家財は、いま買い直したらいくらか、という“再購入価格”が基準になります。冷蔵庫や洗濯機、テレビ、エアコン、パソコン、デスクやチェア、ソファやベッド、衣類や寝具、カーテンやブラインド、食器や調理器具、趣味の道具 -意外に合計すると大きな金額になります。
在宅ワークで必要になった機器はもちろん、季節家電や、外構に置いたガーデニング用品、物置の中の工具やレジャー用品、自転車や電動アシスト車など、見落としがちな項目こそ、後で効いてきます。宝飾品や美術品など、商品によっては上限や申告条件が設けられているケースもあるため、あらかじめ取り扱いを確認しておくと安心です。
6. 免責金額(自己負担)の設計が、保険料と使い勝手を左右する
| 免責の設定 | メリット | デメリット |
| 高め | 保険料が安い | 小規模修理では保険が使えない |
| 低め | 小損害から保険が使える | 保険料が高めになる |
免責を高く設定すれば、保険料は抑えられます。小さな破損は自腹で、という考えであれば合理的です。反対に、日常の小損害から積極的に保険を使いたいなら、免責は低い方が出やすくなります。風災や雹災、雪災に関しては、定額の免責や損害額の一定割合を自己負担とする商品もあり、地域の修理相場と家計の考え方を踏まえて選ぶことが肝要です。高すぎる免責は、せっかくの保険を“使えないもの”にしてしまうことがあります。地元でよくある修理の金額帯(たとえば15〜30万円の小〜中規模修理が多い等)を、担当者と共有しておくと設計がぶれません。
7. 地震保険は“生活再建の土台”として考える
| 要素 | 内容 |
| 補償対象 | 建物・家財 |
| 判断区分 | 全損・大半損・小半損・一部損 |
| 役割 | 貯蓄・公的支援と並ぶ生活再建の柱 |
持ち家である以上、地震発生時の生活再建は、貯蓄と地震保険、公的支援の三本柱で考えるのが現実的です。地震保険は建物と家財それぞれに設定でき、支払いも全損・大半損・小半損・一部損といった区分で判断されます。築年数が進むほど、家具の転倒防止やガラス飛散防止といった物理的な備えと、保険の経済的な備えを併用しておくことが、安全と安心を重ねる現実的な策になります。
8. 実例で見る“後悔”と“納得”:設計がもたらす差
あるご家庭では、風災の免責を20万円に設定していました。台風で屋根の一部が破損したものの、修理見積は18万円。結果として保険は使えず、自己負担となりました。地元では15〜30万円の修理が多いという前提を知っていれば、免責の設定をもう少し下げるか、別の形で調整できたかもしれません。
別のケースでは、家財保険に加入していなかったため、給水管の破損による漏水でテレビやPC、ソファなどがダメになった際の買い直しがすべて自腹になりました。建物の補償だけでは、生活の中身までは戻ってこない -家財こそ生活再建の実感を左右する、という教訓です。
また、近年の豪雨を受けて水濡れのみを付け、水災は外したというご家庭では、床上浸水が発生したときに高額な修繕が必要となり、補償の対象外で困ることになりました。ハザードマップで浸水の可能性を確認し、地域の事情を踏まえて水災の要否を判断していれば、結果は違ったかもしれません。
9. いざというときの“出やすさ”を高める、請求のコツ
保険は契約しただけでは終わりません。支払いを受けるためには、事故の状況と損害の実態を冷静に伝える準備が必要です。被害が起きたら、まずは全景→中景→近景の順で写真を撮り、被害の箇所がどこで、どのように起きたのかが分かるように残します。濡れた建材や飛散物、屋根の破片など、原因の手がかりになりそうなものも可能な範囲で記録しましょう。発生日や天候、台風名なども、後から説明する際の裏付けになります。
修理前に一度、保険代理店に連絡し、必要な手順や書類、見積の取り方を確認しておくとスムーズです。見積は一社だけでなく、可能なら複数案を取り、部分補修と全交換の比較ができると、判断材料が増えます。自治体の罹災証明が必要なケースもあるため、早めの情報収集が功を奏します。災害後には「保険で無料で直せる」といった勧誘が増える傾向がありますが、写りの良いビフォーアフターだけで契約を急がせるような業者には慎重でありたいところです。
10. 団体・一括契約を続ける理由、見直す理由
団体や一括の契約は、手間が小さく、条件次第では保険料のメリットもあります。ただし、付帯設備が充実していたり、在宅ワークや趣味で家財の価値が上がっていたりする場合には、個別設計の方が細部まで最適化しやすいのも事実です。免責のチューニングや、破損・汚損、水災・水濡れの設計など、わが家の事情に合わせて微調整する余地があるなら、費用対効果を比較してみる価値は十分にあります。
11. リフォーム・設備更新と保険は“連動”させる
外壁や屋根の全面更新を行ったら、建物の評価額や耐候性の考え方が変わるかもしれません。キッチンやバス、トイレを高級仕様に入れ替えたら、家財の中で“買い直し価格”が上がるものが増えたはずです。太陽光や蓄電池、EV充電器を設置したなら、それら付帯設備の扱いと補償範囲を、契約に反映しておきたいところです。自宅の一部を仕事用に使い始めた場合は、商品の条件や特約が変わることもあります。リフォームや設備更新は、保険の見直しを同時に行う格好のタイミングです。
12. コストは“保険料だけ”で比べない
保険料は大事ですが、単年の安さだけで決めると、支払いのときに後悔することがあります。免責を上げて安くするのか、免責を下げて使いやすくするのか。特約は“使う可能性×影響額”で選ぶのか。長期契約のディスカウントや、年払・月払の差はどうか。団体・一括契約の金額的メリットと、個別設計による“出やすさ”の差はどちらが自分に合うのか。保険は“総合コスト”と“安心の質”で考えると、答えが変わってきます。
13. 費用感が分かる“ざっくりシミュレーション”
保険の設計は、実際にどれくらい費用が動くのかの“肌感”があるとぐっと意思決定しやすくなります。以下はあくまでも一例ですが、免責と補償の組み合わせで、結果がどう変わるかをイメージしてみましょう。
【ケースA:風災・免責20万円、破損汚損なし】
台風で屋根材が一部飛散。見積18万円
→自己負担。保険料は抑えられているが“小修理”は出ない設計。保険料は年間で約2万5,000円(仮)。「安さ」を取った代わりに、15〜20万円程度の修理は自己負担になることが多いです。
【ケースB:風災・免責5万円、破損汚損あり(年1回まで)】
同条件で見積18万円
→13万円支払い。保険料はAより年間で5,000〜8,000円程度高いが、日常的な小損害にも対応可能。破損・汚損を付けた場合、ガラス破損や子どもの遊びで壁に穴を開けたといったケースでも利用でき、“実用性”を重視する方に向いています。
【ケースC:水災除外・水濡れのみ】
豪雨による床上浸水は対象外。一方で洗濯機ホース破断による室内浸水は対象。保険料は年間でおおむね3,000〜5,000円安くなるが、浸水1回で数百万円規模の修繕費がかかることを考えると、リスクヘッジとして十分かは慎重に検討すべきです。
【ケースD:地震保険なし】
保険料は大幅に安くなるが、震度6強以上の地震による損害は全額自己負担。家の再建費用が2,000万円以上かかる想定なら、年間1万5,000〜2万円の保険料をどう位置付けるかが判断のポイントです。
費用感を知りたい方は、シミュレーションもご用意しています
≪無料相談はこちら≫
14. まとめ:次の更新は“惰性の継続”ではなく“わが家仕様の再設計”に
保険の良し悪しは、保険料の高低では決まりません。いざというときに“期待した通りに支払われるか”、そして“生活の立て直しに本当に役立つか”で決まります。築20年以上の戸建てにお住まいなら、建物・家財・特約・免責・地震保険を、今の暮らしに合わせて整えるだけで、安心の質はぐっと高まります。
更新通知は、惰性で継続するための合図ではなく、暮らしを守る仕組みを再設計するチャンスだと考えてください。
サポートフォースでは、皆様の保険の疑問にもお答えさせていただきますのでお気軽にお問い合わせください。
ネットでのお気軽なご相談も受け付けています。
≪ご相談、お問い合わせはコチラをクリック≫