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コラム

団体割引・銀行指定の火災保険をそのままにしていませんか?築20年・30年の今こそ見直すべき理由と失敗しない選び方

団体割引・銀行指定の火災保険をそのままにしていませんか?

築20年・30年の今こそ知っておきたい「戸建て火災保険」見直しの教科書

マイホームを購入した30代、40代の頃。住宅ローンの契約と同時に、銀行に勧められるまま、あるいはハウスメーカーの提携プランにそのまま加入した方は多いのではないでしょうか。

「団体割引があるから一番安いはず」「銀行が指定したんだから間違いない」 そう信じて、20年、30年と更新を続けてきたかもしれません。しかし、当時の常識は、現在の防災環境や保険制度においては必ずしも「正解」ではありません。

本コラムでは、築20〜30年の戸建て所有者の方に向けて、火災保険の見直しポイントを「わかりやすく・具体的に」整理しました。

「何から確認すればいいかわからない」という方でも進められるよう、最後にチェックリストと見直し手順もまとめています。

1. なぜ「入りっぱなし」の火災保険が危険なのか

火災保険を「住宅ローンの一部」や「単なる手続き」と考えている方は非常に多いですが、実は非常に流動的な金融商品です。

1-1. 30年前と今の「リスク」は全く違う

私たちが30年前に想定していた「災害」と、今の日本で起きている「災害」は質が異なります。

ゲリラ豪雨の常態化と「内水氾濫」
かつては「近くに大きな川がなければ水災は不要」というのが常識でした。しかし、近年の集中豪雨は、排水処理能力を超えた雨水が地表に溢れる「内水氾濫」を引き起こします。これにより、高台や住宅街の真ん中でも床上浸水が発生する事例が急増しています。

建築コストの劇的な高騰
ウッドショック、世界的な鉄鋼価格の上昇、そして深刻な職人不足。これらの要因により、今、家を建て直すコストは急上昇しています。30年前と同じ保険金額のままでは、「万が一の際、元の家より二回りも小さい家しか建てられない」という現実的なリスクがあります。

1-2. 団体割引・一括契約の「落とし穴」

団体割引は確かに魅力的ですが、それはあくまで「当時のプラン」をベースにした割引です。

プランの固定化による無駄
団体契約は内容がパッケージ化されていることが多いため、個別の事情(リフォームをして耐震性能が向上した、子供が独立して家財が減った等)を反映しにくい性質があります。

自由化による逆転現象
1998年の保険自由化以降、保険会社は独自の割引制度(設備・防犯・省エネ等)を競い合っています。そのため、現在の個別契約の方が、古い団体契約よりも安くて手厚いというケースが頻発しています。

2. チェックリストで確認!あなたの保険は「古い」まま?

まずは、お手元の保険証券を取り出してみてください。以下の項目に一つでも当てはまるなら、今すぐプロに相談すべきタイミングです。

見直しセルフチェック表

チェック項目リスクの内容危険度
加入から20年以上、内容不変補償額が現在の建築コスト(物価)に追いついていない。★★★
ローン完済後も当時の契約不要な特約が残っている、または必要な補償が欠落している。★★☆
水災補償の有無が不明浸水被害を受けても1円も支払われない。生活再建が不能に。★★★
「時価」で契約している築30年だと、全焼しても「中古価値」しか支払われない。★★★
地震保険が未加入 or 当時のまま地震大国において、最大の生活再建リスクを放置している。★★★
家財の金額を適当に決めた家財の買い直し費用で貯蓄が底をつく可能性がある。★★☆

3. 築20〜30年の戸建てが直面する「3つの決定的変化」

建物は生き物です。新築時にはなかった「リスクの形」が、20年、30年という時間とともに変化しています。

3-1. 変化①:評価基準の変更(時価から新価へ)

古い火災保険で最も怖いのが「時価(じか)」での契約です。
時価:「新築時の価格」から「年数経過による消耗分」を差し引いた価値。
新価:「今、全く同じ家を建て直すのに必要な金額(再調達価額)」。

昔の契約のまま「時価」になっていると、築30年の家が全焼した場合、受け取れる保険金は当時の数分の一。これでは家を建て直すことは不可能であり、高齢になってからのローン再開という悲劇を招きかねません。現在の火災保険は「新価」で契約するのが大原則です。

3-2. 変化②:家族構成と家財のズレ

40代〜60代になると、ライフスタイルが劇的に変化します。

【過剰な契約】
子供が独立し、4人暮らしから夫婦2人暮らしになった場合。家財の総額は減っているはずなのに、当時のまま高い保険料を払い続けているケース(保険料の無駄)。

【不足している契約
逆に、趣味の道具や高級家電、退職金で購入した貴金属が増えたのに、加入時の安い設定のまま(いざという時、買い直せない)。

3-3. 変化③:ハザードマップの更新

自治体が発行するハザードマップは、近年の甚大な浸水被害を受けて頻繁に更新されています。「昔は安全だと言われた」という記憶は捨ててください。今のハザードマップで「浸水域」に指定されているなら、何をおいても水災補償を検討すべきです。

4. 失敗しないための「補償選び」詳細比較表

火災保険は「火事」だけをカバーするものではありません。今の戸建てに本当に必要な補償を整理しましょう。

火災保険の主要補償ガイド

補償項目具体的な事故例40-60代への詳細アドバイス
火災・落雷・破裂火事、コンセント発火、落雷被害【必須】 老朽化した配線のショートにも備えが必要。
風災・雹災・雪災台風で瓦が飛んだ、大雪で破損【重要】 築20年を超えると屋根や雨樋が脆く、被害が出やすい。
水災集中豪雨での浸水、土砂崩れ【確認必須】 1階部分にリビングがあるなら外せません。
水濡れ2階の配管詰まりで1階が浸水【重要】 配管の老朽化による事故は築20年以降に急増。
盗難窓ガラス破損、家財の盗難【中】 防犯リフォームをしていない古いサッシは狙われやすい。
破損・汚損家具移動中に壁を壊した、等【推奨】 DIYや模様替え中の「うっかり」も対象になります。

5. なぜ「ネット型」ではなく「対面・チャット」が安心なのか

最近はインターネットで完結する保険も増えていますが、40〜60代の戸建て所有者にとって、安さだけで選ぶのは非常に危険です。

5-1. 「自己責任」の重み:誤った申告は「不払い」の原因の可能性に

ネット型はすべてを自分で判断しなければなりません。

【構造判定のミス】
「T構造かH構造か」を間違えるだけで、保険料が大きく変わることもあれば、逆に「不告知」とみなされ、いざという時に保険金が支払われないこともあります。

【面積の計算ミス】
登記簿上の面積と実面積の乖離をどう扱うかなど、専門知識がないと間違えやすいポイントが多く存在します。

5-2. 事故が起きた時の「伴走者」がいるかどうか

保険が本当に必要なのは、家がダメージを受けた「パニック状態」の時です。その際、機械的なコールセンターとやり取りするのは大きなストレスです。 「写真をどう撮ればいいか」「見積もりをどう取ればいいか」を熟知したプロとチャットや対面で話せる安心感は、ネット型の安さ以上の価値があります。

6. 知っておきたい「特約」の知識:暮らしを守るプラスアルファ

基本補償以外にも、今の年齢層だからこそ役立つ特約があります。

個人賠償責任特約
自転車事故で他人に怪我をさせた、散歩中の犬が他人に噛み付いた、といった日常のトラブルを数億円規模までカバーします。家族全員が対象になるため、最もコストパフォーマンスの良い特約です。

類焼損害特約
自分の家から出た火が隣家に燃え移った際、失火法により基本的に法的賠償責任はありません。しかし、「お隣さんとの今後の関係」を考えれば、自分の保険で補償してあげられるこの特約は、地域社会で安心して暮らすためのマナーとも言えます。

建物附属物への補償
後から設置したカーポート、物置、ソーラーパネル、門扉、フェンス。これらが補償対象(建物の保険金額)に含まれているか、今一度確認が必要です。

7. 「経年劣化」か「自然災害」か?見極めの重要性

築20〜30年の家で最も多いトラブルは、保険金請求時に保険会社から「これは事故ではなく経年劣化(老朽化)です」と拒絶されることです。

7-1. 劣化と判断されると1円も出ない

火災保険は「不測かつ突発的な事故」が対象です。「古くなって屋根が剥がれた」のは対象外ですが、「台風の強い風で古い屋根の一部が浮いた」のであれば風災の対象です。この「原因の立証」が非常に難しく、多くの人が諦めて自費で修理しています。

7-2. 正しい知識で請求することの重要性

見直し時に「免責金額(自己負担額)」を賢く設定することも重要です。古い契約に多い「20万円以上の損害がないと出ない」というルールを撤廃し、**「1円からの損害でも対象になる」**プランに切り替えることで、修繕費の自己負担を大幅に減らせる可能性があります。

8. 地震保険の「新常識」:築年数が経つほど必要な理由

30年前には「地震保険は高いし、半分しか出ないから不要」と考えていた方も多いかもしれません。しかし、現在の生活再建において地震保険は必須と言えます。

8-1. 火災保険だけでは「地震火災」は守れない

地震が原因で起きた火災は、通常の火災保険では補償されません。築20年以上の木造住宅は、最新の住宅に比べて耐震基準や防火性能が異なるため、地震による火災リスクが相対的に高まっています。

8-2. 家財の地震補償が「当座の資金」になる

建物が全壊しなくても、地震で家財(テレビ、電子レンジ、家具)が壊れれば、家財の地震保険が支払われます。これは被災直後の当座の生活資金として非常に役立ちます。見直し時には、建物だけでなく「家財への地震保険」を検討すべきです。

9. メンテナンスと保険の相乗効果:家を長持ちさせる戦略

築30年前後は、屋根の葺き替えや外壁塗装など、大規模なメンテナンスが必要な時期です。この「修繕」と「保険の見直し」をセットで行うことが、資産価値を守る近道です。

9-1. リフォーム後の保険料割引

最近の火災保険には、耐震改修割引や、オール電化割引、さらには「築浅割引(10年以内など)」だけでなく、適切なメンテナンスを行っている建物への優遇を検討する動きもあります。

9-2. 建物診断の重要性

保険を見直す際、プロに建物の状態をチェックしてもらうことで、「今は保険で直せる箇所があるか」「今後どのようなリスクに備えるべきか」が明確になります。これは、ネット型保険のセルフ入力では決して得られない、対面相談ならではの付加価値です。

10. 失敗しない見直しの具体的ステップ

「どこから手をつけていいかわからない」という方へ、手順を整理します。

1.現状把握:証券の掘り出し
まずは現状を知ること。保険証券の「建物の保険金額」「評価基準(新価か時価か)」「水災の有無」の3点をスマホで撮影することから始めましょう。

2. 現状評価:今の家の価値を算出
今の建築物価で家を建て直すといくらかかるのか。現在の坪単価(60万〜90万円程度)に面積を掛けて、ざっくりとした必要額を把握します。

3. 比較検討:セカンドオピニオン
今の契約、ネット型、プロの提案。この3つを並べて比較します。「保険料の安さ」だけでなく、「万が一の時に、誰が現場を見てくれるか」という視点を忘れないでください。

保険は「過去」ではなく「未来」のためにある

家を建てた時のワクワクした気持ちを覚えていますか? それから20年、30年。家族の思い出が詰まったその家は、あなたの人生そのものです。

「保険のことはよくわからないから」と後回しにするのは、大切な家族の思い出を無防備な状態にさらしているのと同じかもしれません。

保険は「過去の契約」を維持するためではなく、「未来の安心」を確保するためのものです。更新案内が届くのを待つのではなく、今、自ら一歩踏み出して内容を確認してみてください。そのひと手間が、これからの10年、20年の安心を決定づけます。

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