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空き家になる前に|実家・別宅の火災保険と将来の処分

先に結論からお伝えします。空き家になると火災保険は「住んでいる家」と別扱いになり、保険料が上がる・引き受けを断られる・地震保険が付けられない、といった制約が出てきます。さらに、塀の倒壊などで他人に損害を与えたときの賠償も、個人賠償責任保険では対象外になる場合があります。 だからこそ、対策は住んでいる(住んでいる人がいる)今のうちに始めるのが正解です。

親が施設に入った、相続した実家に住む予定がない——「家が空き家になる(なりそう)」という節目は、50〜60代の方なら誰にでも起こり得ます。総務省の住宅・土地統計調査(2023年)によると、全国の空き家は**約900万戸、住宅の13.8%**と過去最多を更新しており、もはや特別な話ではありません。空き家になってからでは選択肢が狭くなるため、今のうちに知っておきたいポイントを整理しました。

空き家になると火災保険が難しくなる理由

理由はシンプルで、誰も住んでいない家は保険会社から見てリスクが大きく上がるからです。 具体的には次の3点です。

  • 火災の発見が遅れる: 小さな火でも気づく人がおらず、全焼に至りやすい
  • 放火のリスク: 総務省消防庁の統計では、令和6年(2024年)の「放火」と「放火の疑い」を合わせた出火件数は3,904件と出火原因の上位を占めており、人の出入りがない建物は狙われやすいとされています
  • 台風・雪などの被害が放置される: 屋根の破損などが直されないまま、被害が拡大しやすい

このため空き家は、住宅向けの契約ではなく事業用などと同じ**「一般物件」として扱われて保険料が上がったり、保険会社によっては引き受け自体を断られる・条件付きになる**ことがあります。

どこまで引き受けられるかの判断は、保険会社によってかなり差があります。定期的に管理している、家財が残っている、月に数日は寝泊まりしている——といった実態によっても扱いが変わるため、「空き家だから無理」と決めつけず、まず相談していただきたい領域です。

地震保険は原則付けられない

完全な空き家には、地震保険は原則付帯できません。 地震保険は法律に基づく公的な性格を持つ保険で、対象が「居住の用に供する建物」と定められているためです(地震保険に関する法律2条)。

京都を含む関西も、南海トラフ地震などの地震リスクと無縁ではありません。「実家が空き家になったら地震の備えは実質できなくなる」——これは意外と知られていない重要ポイントで、住み継ぐ・貸す・売るの判断材料にもなります。

住んでいる今のうちにできること

空き家対策がいちばん動きやすいのは、まだ人が住んでいる今です。 次の4つを順にチェックしてください。

  1. 実家の保険証券を確認する: 親の代に入った長期契約のまま、補償内容が古くなっていないか。契約者・被保険者は誰か。建築費の高騰で保険金額が実態に足りなくなっていないか
  2. 名義と連絡先を整理する: 相続や施設入所で所有者・管理者が変わるとき、保険の名義変更・住所変更を忘れない
  3. 「住まなくなったら保険会社に連絡」を家族で共有する: 居住実態の変化(空き家化)は保険会社への通知事項とされているのが一般的です。伝えないままだと、事故時の保険金支払いに影響するおそれがあります
  4. 今後の方針を早めに話し合う: 住み継ぐ・貸す・売る・解体する——方針によって必要な保険がまったく変わります

家を貸して活用する場合は、オーナーとしての賠償リスクという別の論点が出てきます。

空き家でも「賠償リスク」は残る

「燃えても自分の損だから保険はいらない」は誤解です。空き家のリスクは、自分の建物だけでは終わりません。

  • 老朽化した屋根材や外壁が飛んで、隣家や通行人に被害を与えた
  • ブロック塀や樹木が倒れて、他人にケガをさせた
  • 給排水設備の不具合で隣の建物に水濡れ損害を与えた

建物など工作物の欠陥(瑕疵)で他人に損害を与えた場合、所有者は最終的に無過失でも責任を負います(民法717条・土地工作物責任)。これは住んでいなくても、所有しているだけで問われる責任です。

さらに2023年の法改正で、放置空き家への行政の対応も強化されました。窓や屋根が壊れたまま放置されているような家は「管理不全空家」として指導・勧告の対象となり、勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例(税負担の軽減)が外れる場合があります(空家等対策の推進に関する特別措置法)。

その賠償、個人賠償責任保険では払えない可能性があります

「個人賠償責任特約に入っているから、塀が倒れても大丈夫」——空き家では、この安心が通用しない場合があります。 火災保険や自動車保険に付ける個人賠償責任特約が対象とするのは、日常生活の事故と「居住の用に供される住宅」の所有・使用・管理に起因する事故です。誰も住まなくなった空き家は、この「住宅」に当たらないと判断され、空き家に起因する賠償が補償の対象外となる場合があります(別荘のように季節的に居住する建物は対象になるなど、扱いは保険会社・契約により異なります)。

つまり空き家は、「火災保険が難しくなる」だけでなく、賠償の備えにも穴があきやすいのです。所有者責任(民法717条)は待ってくれないのに、頼りにしていた保険が使えない——これが空き家のいちばん怖い組み合わせです。

空き家の賠償リスクには「施設賠償責任保険」で備える

施設賠償責任保険(施設所有(管理)者賠償責任保険)とは、建物や設備の欠陥・管理の不備が原因で他人にケガをさせたり他人の物を壊したりした場合の、法律上の賠償責任を補償する保険です。 空き家の塀の倒壊・屋根材の飛散・樹木の倒伏といった「所有しているだけで負うリスク」は、この保険でカバーするのが基本形になります。

  • 事業者向けに聞こえますが、空き家を所有する個人でも加入できます
  • 空き家向けの火災保険に賠償特約として付帯できる商品もあります
  • 補償の大きさに対して保険料は比較的手頃なことが多い分野です(建物の状況によります)

なお、部屋や家を人に貸している場合のオーナー賠償も、同じく個人賠償責任保険では対象外になるのが基本です。考え方は関連記事「マンションを賃貸に出すなら」(No.23)で詳しく解説しています。自分の契約がどちらの型で、空き家・賃貸をカバーしているのか——ここが証券チェックの最重要ポイントです。

売却・処分するときの保険の扱い

方針が「売る・解体する」に決まっても、引き渡しの日まで保険はやめないでください。 そのうえで、次の点に注意しましょう。

  • 引き渡し(解体)の日まで保険は切らさない: 空き家期間中の火災・自然災害・賠償リスクは最後まで残ります
  • 長期契約の解約返戻金: 長期一括払いの火災保険は、途中解約で未経過分の保険料が戻るのが一般的です。解約手続きを忘れると受け取りそびれることも
  • 相続した家を売る場合: 保険の名義変更をしないまま放置すると、事故時や解約時の手続きが複雑になります

よくある質問

Q. 空き家でも火災保険に入れますか? 
A. 入れる場合があります。ただし住宅向けではなく一般物件としての契約になったり、管理状況などの条件が付いたりと、保険会社によって判断が大きく分かれます。複数社を扱う代理店で選択肢を比較するのが近道です。

Q. 空き家に地震保険は付けられますか? 
A. 常時人が住んでいない完全な空き家には、原則付帯できません。地震保険の対象は「居住の用に供する建物」と法律で定められているためです。

Q. 月に1回帰って管理していれば「空き家」になりませんか? 
A. 扱いは保険会社の判断によります。家財を置いて定期的に寝泊まりしている「別宅・季節住居」と、完全な空き家では扱いが変わることがあります。大切なのは、実態を正しく伝えて契約することです。

Q. 空き家になったことを保険会社に伝えないとどうなりますか? 
A. 居住実態の変化は通知事項とされているのが一般的で、伝えないままだと事故の際に保険金が削減されたり支払われないおそれがあります。空き家になる(なった)時点でご連絡ください。

Q. 空き家の塀が倒れて通行人にケガをさせたら、個人賠償責任保険で払えますか? 
A. 対象外となる場合があります。個人賠償責任特約は「居住用の住宅」を前提とした補償のため、誰も住んでいない空き家は対象と認められないことがあります。空き家の賠償リスクは施設賠償責任保険で備えるのが基本です。

Q. 相続した実家の火災保険は、そのまま使えますか? 
A. 契約者・被保険者の名義変更が必要です。あわせて、補償内容が現状に合っているか(空き家化・建築費高騰による保険金額の不足など)の点検をおすすめします。

まとめ|空き家の悩みは「保険+α」でご相談ください

空き家は、火災保険の制約・地震保険の対象外に加えて、所有者責任(賠償)への備えまで個人賠償責任保険では穴があき得る——リスクと制約が同時に増える状態です。賠償の備えは施設賠償責任保険が基本形。そして選択肢がいちばん多いのは「空き家になる前」です。

サポートフォースは京都の保険代理店として、複数の保険会社の中から空き家・築古物件の引き受けに対応できる選択肢を一緒に探します。売却・処分を検討される場合には、信頼できる不動産の専門家におつなぎすることも可能です。「実家がそろそろ空き家になりそう」——その段階で一度、証券を持ってご相談ください。

※ 空き家の火災保険の引き受け条件は各保険会社の引受基準によります。個別の可否・条件は契約先または代理店でご確認ください。


出典・参考

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